医師のプロフィール

1. 医師のプロフィール

野尻俊輔(のじり しゅんすけ)

名古屋市立大学 消化器・代謝内科 准教授
肝膵臓内科 部長

専門は消化器特に肝臓で肝硬変、肝癌の専門科です。中国の天津中医薬大学で毎年研修し中医学を専門としています。肝臓以外にも広く一般漢方診療を毎週金曜日午後に行っています。

肝臓に関しては西洋医学の専門先端知識を基礎に漢方、生薬を生かした治療を行っています。

2.大学漢方外来の特徴

開業医さんでは疾患を治すのに西洋医学と漢方医学を混合して診療しているところが多いですが、一般的に大学病院は西洋医学主体で漢方は補助程度が現状ですが漢方専門外来を標ぼうしているところはかなり積極的に取り入れているところもあります。

漢方薬はエキス剤(出来上がっているもの)と一つ一つの生薬(植物の葉や根、動物や鉱物)を組み合わせて煮だして飲む方法があります。大学で出されるエキス剤はすべて保険収載されていますし生薬も保険で通るものを組み合わせて使用できます。

私の担当している漢方外来は肝硬変や肝がんの治療中の補助療法としての漢方薬併用使用例が多いですが最近ではそのほかの多彩な症状にも対応するべく対象を拡大中です。

3.漢方とは

a. 漢方と西洋医学

厳密にいうと漢方とは日本古来からの伝統的に独自に発展した医学です。それに対し中国本来の伝統医学を中医学といいます。両方合わせて東洋医学と言うことがあります。これらは日本の病院のほとんどが採用している西洋医学とは色々な面で性格が違います(図1)

b. 東洋医学の診察法の特徴

気・血・津液(水)という独特の概念を持ちそのバランスを保つことを大切にする考え方が特徴的です。四診という方法を使って病態を考え治療法を決めていきます。

関連リンク:四診とは

従って西洋医学とは病気のとらえ方が違います。基本的には漢方薬も西洋医学薬と併用することができますが一部作用の増強や効果減弱等もあり得ますので詳細は主治医、漢方処方医までお尋ねください。

c. 漢方薬の飲み方

煎じ薬は一日分の生薬が袋詰めになって渡されます。これを自宅で500-800mL位の水で煮だして何回かに分けて飲みます。
エキス剤は一回づつパックになった粉末製剤を基本食前に水またはお湯で内服するのが一般的です。

d. 漢方薬の副作用

よく漢方は即効性がない代わりに副作用がないといわれますが実際は即効性があるものもたくさんあり副作用もそれなりにあります。

有名なものとしては甘草による偽アルドステロン症があります。甘草は日本で採用されている漢方処方に含まれている頻度が高いので注意する必要があります。特に肝臓の治療でグリチルリチン製剤を使っている人は同様の作用があるため特に注意が必要であります。

主成分のグリチルリチンによる酵素阻害で浮腫、血圧上昇、低カリウム血症、高ナトリウム血症、横紋筋融解症等が現れることがあります。放置して重症になると命にもかかわることがあるので注意が必要です。

その他頻度はあまり高くありませんが間質性肺炎があげられます。間質性肺炎自体は要因もなく突発的に発症する可能性があり、また西洋薬でも起こりえます。現在どの漢方薬が起こしやすいという結論は出ておらずどの薬剤でも起こし得るものであり息切れ等の症状が起こってきた場合は早めに検査をして対処を講じる必要があります。

さらに、アレルギー体質の人、特に食物アレルギー等ある人は漢方薬にその食材(例えば柑橘系、小麦、いも類等)が使用されていることがありますので十分注意が必要です。

4. 東洋医学研究財団

東洋医学研究財団は現在名古屋市立大学内に事務局があり地域の漢方研究に協力している歴史ある公益財団法人です。

a. 財団について
b. 市民公開講演会
c. 事業報告
d. 役員名簿

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